青もみじ

 京都に住んで早や45年、住んだ先々の近所にある神社仏閣にはそれなりに訪れてはいたが...

ゴールデンウイークを前に、日本人男性の健康寿命からして「俺もあと10年もないのか...」と頭によぎった。

 

そこで、思ったのはせっかくの京都在住の身、健康なうちに可能な限り神社仏閣を訪ねてみようかと思い立ったのである。

最初に思い浮かんだのは「清水寺」、たしか歴史好きの父と初めて京都の地に立った45年前に、観光バスのツアーで廻った名所の一つである。5月3日の朝、電車代もいらない通勤定期内の(笑)清水五条駅で下車して目的地に向かうが、今年はコロナによる行動制限が出ていないので人出が多い。近づくにつれごった返してくるので思わず横道に逸れ、紛れ込んだのは「大谷本廟」であった。人出も少なく、ほっとしながら本堂を参り、境内を歩くと凛々しい親鸞の像が立っていた。7~8年前に五木寛之の小説「親鸞」を全巻読んでいたので、その生涯に親しみを感じながら像を仰いだ。清水寺への参道に戻り、人波に紛れ坂道歩き到着したが「何もこんな人の多い時に参ることもないな」と思い直し周辺を眺めただけで、帰路に就くが人混みでなかなか前に進まない、45年も住んでると、大体の方角はわかるので横道に逸れ祇園の方へと歩いた。広い「建仁寺」の境内で腰掛て一息つき、これまた通勤定期内の(笑)祇園四条駅から家路についた。1日目の3時間ほどのツアー終了。

 

 ツアー2日目の5月4日、この日は明確な目的地があった。

40代後半からか、日曜日の朝早くに目が覚めた時に視聴していた番組で、ここ数年は毎週のように観ている「こころの時代」がある。10日ほど前の番組は「法然院」の貫主の「縁起のなかで」と題してのインタビューであった。早速、ホームページを開いて氏の年齢を知ると私と同じ、そしてゴールデンウイークには色々な催しがあることを知った。4日はキッチンカーで商いをしているコーヒー屋さんが出張して、寺の名水でその場で焙煎したコーヒーを淹れてくれるらしい...

 

白川通りから哲学の道を横切り、山門への石段を見上げると新緑が映える。近くの「銀閣寺」はきっと凄い人出なのだろうが、午前中のせいか人出もまばらであった。山門を潜り抜け書家の展示会を見学したあと境内を散策していたら、寺の関係者から住職の法話があると案内された。わずか10日前にテレビ番組で知った貫主の法話が目の前で聴けるとは、まさに「縁」というものなのだろうか...

 

法話が終わりコーヒーを頂いた。その後、コーヒーを飲み終えると本堂の中庭を見学することができた。縁側に腰を下ろし、暫く新緑の庭を眺める。まさに「青もみじ」の世界だ。静寂の中で鹿威しがカーンと鳴り響く...

 

45年前、勉強をしない2浪目の大学受験も失敗して、9歳上の姉が見つけた京都の専門学校に入学することになり、遥々と1冊の高校時代の教科書を持って来た。それは「倫理社会史」... 

 

あの頃から「人生とは」「生きるとは」と問いかけていたのかも知れないな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    みさこ (日曜日, 12 6月 2022 16:09)

    有名な神社仏閣の多い京都は日本のパワースポット、聖地です。今その地にしっかり根を下ろしている友さんはやはり京都に縁があったのですね。倫理社会の教科書は京都に似合います。�

  • #2

    ともさん (日曜日, 03 7月 2022 14:16)

    すべてが縁なんですね。

What's New