生まれ故郷の上空を飛んだ!

 11月16日9時40分、その飛行機は神戸空港を飛び立った。暫くすると四国山地の上空にさしかかった。西日本とはいえ、ひときわ高い峰は薄らと雪化粧をしていて、冬の到来も間近なことが感じられた。間もなく海上を飛行した後、リアス式海岸(だったか?)が眼下に見えたので、大分県に出たのが判った。そこを南西に飛び続けると今度は一直線の海岸線が続いたので、宮崎県に入ったのが判った。この辺りの地図が頭に入っているのは、私が宮崎県生まれであるからである。ということで私の心はそわそわしだし、宮崎市街地を流れる大淀川と海岸から突き出る小さな島の青島(夏には良く連れて行ってもらった子供の国や海水浴場がある)を探し始めた。間もなくそれらしき姿を眼下に見止めたとき、鞄に入っているデジカメを取り出そうかと思ったが、あっという間に通り過ぎる景色を、心のカメラにしっかりと収めようと思い直した。ゆったりと河口に流れる大淀川の上流には本庄川があり、その辺りは私が生まれ八歳までを過ごした国富町があるのだ。『子供は両親を選んで生まれてくる』と言われていることが事実ならば、今から五十数年前にこの空の上から、天使の私(笑)は修行の為に「あの両親ときょうだい達の元に生まれよう!」と決意したのであろうか・・・生まれ故郷の辺りやその奥に雄大に広がる九州の山々に目をやりながら、私の心は久しぶりの感動に浸っていた。宮崎市を過ぎた頃から鱗雲が増え、鹿児島を過ぎて海上に出た頃から眼下は雲の絨毯になり、一時間ほど飛行した後、翌日に高校、中学のダブル同窓会のある那覇空港に着陸をした。

 

What's New