紙芝居

 11月も終わりの週末、京都国際マンガミュージアムで行われた『ヤッサン追悼紙芝居口演』にいって来た。夏に亡くなった座長のヤッサンの意志を継ぎ、二代目座長になった、だんまる(たしか息子であったと記憶している)が師匠の40年の波乱の紙芝居人生を、紙芝居仕立てで演じたものであった。だんまる(ワカ)とは彼が主宰しておこなっているキャンプ形式の土日学校に、小学校低学年の頃に参加した現在中三の息子との縁で今回の案内を頂いた。そんなこんなで、マンガミュージアムで行われていたヤッサンの紙芝居にも、小学生だった息子と観にいったことがある。腹の底から出る大きな声で『黄金バット』などを演じて、聴衆の心を引き込んでくれていた。たわいもないヤッサンのクイズに息子より私が夢中になり答えると、宝石箱から豪華なおもちゃ(笑)の真珠の指輪を「奥さんへ」とも貰い、童心のようにウキウキと高揚した記憶が鮮明に残っている。紙芝居は昭和三十年代を過ごした、宮崎県の小さな町で同世代の鼻たれ小僧達と観たという記憶がうすらと残っている。テレビも出始めで高価だし、映画もめったに観れるものでなかった時代、私たちの幼心を夢中にさせていたと思う。当日の追悼口演を観に来た多くの子達(大人も)はテレビ、映画、ゲーム機など何でも揃っているはずなのに紙芝居に夢中になり、だんまるのクイズにも我先にと盛んに手を挙げていた。

 スクリーンのテロップではヤッサンの残した言葉の「心のおしっこを出してしまおう」「君は何をして人生を終わるのか」など私の心にチクリとくる文字が流れていた。 きっと空の上から黄金バットのように ワッハハハッ ワッハハハッ・・・ と大きな声で笑っているのだろう・・・

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