見えないものを見るということ

 先週末、大阪の中之島にある国立国際美術館で開催されているエル・グレコ展に行って来た。スペイン三大画家と呼ばれ、没後400年を迎える巨匠である。 活躍した年代は西暦1600年前後で、日本は戦国時代である。織田から豊臣そして徳川時代という頃か。そして沖縄は琉球王国第二尚氏の時代で東アジア貿易が盛んで潤っていた時代だろうか。そんな我が国の時代に、キリストが降臨した場面や穏やかな表情での十字架への貼り付け場面、その他多くの宗教画や肖像画を残している。彼が存在した1600年も前の聖なる場面を、何故にこんなに生き生きと表現できるのであろう。

 そんな疑問を解く解説が、作品の合間の壁に掛かっていた。「~目に見えないものを描く才能に恵まれていた~」と。近世のヨーロッパ、ギリシャのクレタ島に生まれ、イタリア、スペインと生きる場を移しながら、彼は目に見えないものを見るために、何を経験し感じ悟っていったのか?

 私達は、なかなか目に見えるものしか信じようとしない。仕事の成果、学業の成績、愛の証、政治の結果、財産etc・・・ でも疲れたときに、そっと目を閉じ感じるものは自然の風、音、香り、光、そして導き・・・ それが大切! そんな人間になれるのは、いつの日かな(笑)

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