孤高のもみじ

少し前のこと、美術館の帰りに京の街を散歩した。

紅葉真っ盛りの白川通りを北へ上がり丸太町通りを西へ、若い頃に歩いた町並みを眺めながら、その変化ぶりや変わらない場所に思いを寄せていた。

 

鴨川へ突き当たると、一本のもみじが悠然と立っている。その姿に心を奪われた。観光地に居並ぶ数々の紅葉も美しいが、ひとり(一本)自然の厳しさに耐え、今ここに赤々と燃え盛る孤高の姿に共感してしまったようだ。

 

他の木々(人々)を見ながら生きるのではない、自分がどう生きるのか・・・

 

美術館で竹内栖鳳(たけうちせいほう)の作品を鑑賞して、一本のもみじにその人生を重ねたのかも知れないが、人々は人生の厳しさに耐え、木々は自然の厳しさに耐える。ただ淡々と歩むことで晩年には人の心を動かす姿(作品)ができるのだろうと思う。それには何の優劣もない・・・ 

 

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