伝統

 少し前になるが、学生たちが夏休みに入ったころ、関西は梅雨が明け連日が体温前後の酷暑になった。私もその週の後半に息子の誕生日と母の命日が続くため、何となく早々と短い夏休みを入れてみた。かと言って子供達は大きくなり、何処かへ連れて行くわけでもなく、独りでの休日である(酷暑の中では、妻が好んで外出を共にするわけもなく(笑))

 

初日は、およそ50年振りに復活したという祇園祭の後祭りの山鉾巡行を見物に三条河原町に出かけた。そして、ついでに息子が誕生祝いに欲しがっていた、前日に発売されたばかりである、竹内まりやの『静かな伝説(レジェンド)』のCDとギターの弦を買った。(何で17歳の子が私の世代のミュージシャンの曲を欲しがるのか?と思ったが、聴くとたしかに良い曲だ)

 

翌日は昼過ぎから大阪天満宮へ天神祭の陸渡御(催太鼓を先頭に、約3000人の渡御列が大阪天満宮から天神橋北詰の船着場へ神輿を担ぎ練り歩く)に出かけた。(夜にあるメインイベントの船渡御には大混雑が予想され、とてもこの齢で日帰りでは行く元気がなかったのだ(笑))しかし、さすがに大阪は商人の町だ、猛暑のなか沿道で長いこと待ったが、参加する町衆に活気がある。祇園祭の華やかで厳かな雰囲気も良いが、私が十代を過ごした沖縄に例えるなら、京都が首里なら大阪は那覇というところだろう。那覇の活気の中で過ごした身には、大阪の祭のほうが肌に合う気がした。(10月にある那覇祭のメインイベントは国道を歩行者天国にして、ギネス公認の世界一大きな綱を雄綱、女綱をかんぬき棒で繋ぎ東西で引き合う)

 

それにしても、参加する町衆(老若男女)の表情は活き活きしている。生活の場を転々とした私には縁がなかったが、祭などの伝統行事というのは、長老たちが口伝えしながら身振り手振りで後継者に指導していく、そこには何の損得勘定もない喜びがあるのであろう・・・

 

そして、その翌日は母の命日で、那覇の実家の仏壇の前に集結した、きょうだい達と時刻を合わせ、御経を上げ母を偲んだ。逝って9年の歳月が経つが、親というものは姿形が見えなくなっても、益々その存在が大きくなるのを実感する。  

 

そういえば、もうすぐお盆であるが、これも代々繋いでいく伝統行事なのだ・・・

 

 

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