究極の音楽療法

 今日は昼から、近所にあるデイサービスセンターの夏祭りに招かれ、歌とギター演奏で楽しんでもらった。高齢者施設で喜んでもらえるのは、童謡唱歌そして昭和歌謡だ。なかでも『いつでも夢を』が評判がいいのは、やはり中高齢者の青春時代を呼び起こすからであろう。男女みな大声で歌ってくれる。

 

さて、その『いつでも夢を』の作曲者の話である。

数日まえ放送されたテレビ番組を、風呂上りに何気なく眺めていたときのこと・・・

 

始まりは、一本のカセットテープが、あるレコード会社に送られてきた。第二次世界大戦に敗戦し満州にいた日本軍の多くが、ロシア軍に抑留され極寒の地シベリアへ送られ過酷な労働を強いられたのだが、歌声の主はその中の一人であった。そして、その歌を作った人の名前は、戦後に数々のヒット曲を世に出した吉田正氏である。

 

シベリアで凍え、食うや食わずの過酷な生活で、次々と死者が出て行くなか、吉田氏もその労働者の一人であったが、音楽の大好きな氏は、どんな苦しい時にも歌を作り皆に歌わせ、帰国出来るまで「生きよう!」と励まし続けたのである。

 

氏はすでに亡くなっているが、その歌はいま多くの人々の手で世に出ようとしている。出たかと思ったら、すぐに消えゆく歌の多い最近の音楽産業にあって、戦後70年近く「命の歌」として歌われていた曲があるのだ。

 

これが、究極の音楽療法ではないであろうかと、番組終了後も動けず感動に浸る私であった・・・

 

番組のナレーションを担当していた吉永小百合氏が「先生に歌の指導をして頂いていたとき、「小百合ちゃん、生きるとは大変なことなんだよ・・・」と、ふと漏らされていたのが忘れられない」と語られていた。

 

まだまだ、私の音楽観、人生観は薄っぺらいな・・・

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