進む?それともリタイア?

 10月始め、リビングでパソコンの前に座っていたときに、大学生の息子は横のテレビでバラエティー番組を観ていた。暫くすると詰まらなくなったのか、スーッと席を立ち自室に戻っていった。パソコン作業をしていた私は気が散るので、落ち着いた番組はないかとチャンネルをNHKにすると、何か長距離競技のスタートの瞬間であった。

 

何となく気になり視線を向け続けていると、参加選手の年齢は高そうだし、一度も観たこともないマイナーなスポーツのようだった。

 

後で新聞で確認すると、その番組は「NHKスペシャル『神の領域を走る』パタゴニア極限レース 世界一過酷な141㎞ 47歳日本人が大激走!」とあった。

 

「パタゴニア??聴き覚えのある地名だな~ スペイン語?? ははぁ~開催国はスペインか~」と、番組を観ている最中は判ったふりをしていたが(笑)、あとでWikipediaで調べると『パタゴニア(Patagonia スペイン語発音: [pataˈɣoni̯a])は南アメリカ大陸の南緯40度 付近を流れるコロラド川以南の地域の総称。アルゼンチンとチリの両国に跨る。』と書いてあった。(知ったかぶりは恥ずかしい(笑))

 

141㎞!!! 高校時代のマラソン大会で10㎞を走っただけで音を上げていた私には考えられない距離だし、平たんな道だけではない、道なき山道や川、岩山を登りきると-19℃の極寒の岩の雪道を走る。中継所には水、食料、休憩室は用意されているものの、多くの選手がリタイアしていく。極寒の雪道で女性選手たちは低体温症にかかり相次いでリタイア、この場所を乗り切ると『神の領域』に入るという。トップ選手を追い2番でゴールした47歳の日本人選手は、この領域に入った辺りから「斜めうしろから、家族か友人が併走してくれる感覚になった」と言っていたが、やはり『神の領域』なのだな。

 

それよりも、ふらふらになりながらゴールして、感極まり奇声を上げた参加者最高齢の59歳でチリから参加した(弁護士だったかな?)男性に、私は自分自身を重ねジーンとして涙ぐんだ。番組の取材当時は私も59歳だろうから、きっと同期だろう。

 

レースも人生も「進む?リタイア?」と自分自身に問いかけながら、前へ前へ・・・

 

 

 

 

 

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