北風と太陽

この所、東アジアの海上が物々しい。

 

半月ほど前だったか、アメリカの副大統領が来日したときの演説で「平和は力によってもたらされる」というようなコメントをしていた。

 

ならば、人間とはその誕生から今日まで、今もなお他の動物と何ら変わりない(力の強いものが他を支配する)存在なのかな・・・と淋しく思った。

 

写真は3月の彼岸に帰省し、きょうだいで普天間基地の視える嘉数高台に登ったときにデジカメで撮った写真である。(この辺りは先の大戦で激戦地だったようで、数千人の京都出身の兵士を慰霊する『京都の塔』が近くにある。他にも南部には各都道府県の塔があるが、また戦争になれば沖縄だけが犠牲になるのではなく、全国の多くの若者が出兵して戦死してしまうということを、どれだけの国民が想像できているのだろうか・・・)引き伸ばしたのでボケてよく視えないが、右側の滑走路にはオスプレイ数機のプロペラらしきものが視えているし、ここから北側に少し離れた所には、さらに広大な嘉手納基地がある。

 

そんな帰省中に、兄から『消えゆく沖縄 仲村清司=著 光文社新書』、姉から『マザー・テレサ愛の贈り物 五十嵐薫=著 PHP文庫』を読めと持たされ、やっと読み終えた。『消えゆく・・』は沖縄出身の家族の元で大阪に生まれた私と同世代の著者が、20年前に沖縄に関わりたいと移住し、今日までの劇的な変化を憂いながら綴ったものである。私も帰省の度に感じることだが、50年前から40年前まで過ごした日本一貧しかったであろう当時の沖縄の長閑な風景がどんどん消えていっているのだ。それは基地の代償としての補助金による経済発展が原因なのか?国内外の経済競争に巻き込まれたのが原因なのか・・・

 

今後も普天間基地が返還されれば、また経済発展して街が大きくなるだろう。そして、辺野古が埋め立てられ、基地ができれば豊かな海の恵みが無くなるだろう。今はまだ美しい海や独特な伝統文化を求めて国内外からの観光客が増え続けているが、防衛のためや、経済発展で豊かな自然が食い荒らされ尽くしてしまった時に、沖縄に(世界中の自然に言えることだが)どんな魅力が残っているのであろうか?後で反省しても一度破壊されてしまった自然は戻らない・・・

 

そして、もう一冊の『マザー・テレサ・・・』には、あのアメリカ副大統領のコメントと全く正反対の行動による平和がそこにはあった。私にはあの副大統領のような力による平和観も無ければ、マザー・テレサのような慈愛に満ちた平和観も無い。

 

しかし、そんな私でも、幼い頃に読んだ『北風と太陽』のイソップ寓話は今も心に残っている・・・

 

地球は一部の富者のものではない、環境が再生できるうちに皆で気付いて、後の世代のあらゆる命に渡したいね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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